2016年06月06日

愛知県の外国人雇用特区構想

愛知県の大村知事がぶち上げていた特区提案はどうなったでしょう?

第一段階の労働関係の特区提案は、

平成26年7月15日:モノづくり産業強靭化スーパー特区

この中に含まれています。

労働関係の項目は

1.外国人高度人材受け入れ規制緩和
 ・特区では10ポイント下駄を履かせよう!等
  高度人材ポイント制とは

2.技能実習制度の規制緩和
 ・実習期間を3年から5年に延長
 ・技能実習終了後に5年在留許可
 ・一般製造工も受け入れやすくするように在留資格要件を緩和

3.新設企業や外国企業へ雇用ルールを紹介

4.ハローワーク事務を県に移管

以上の4点です。

なかなか採択されず、業を煮やして、これだけでもやってくれという提案が「外国人雇用特区」です。

平成27年11月24日:外国人雇用特区

新聞各紙にも取り上げられた挙句、実現したのは前の提案の3番
愛知県雇用労働相談センターの設置」
だけでした。

その事業概要を引用します。

雇用労働相談センターは、国家戦略特別区域法に基づいて設置されるものです。新規開業直後の企業や海外からの進出企業等が、日本の雇用ルールを的確に理解し、個別労働関係紛争を生じることなく円滑に事業展開できるよう、各種相談サービスを提供します。
※雇用労働相談センターは、労使間で生じた個別労働関係紛争の解決を目的とするものではありません。


つまり、新設企業や外国企業のために厳しい日本の労働法制を緩めて事業を展開しやすくしようというのではなく、無知蒙昧の徒に現行の労働法制を教えてやろうという組織です。
ただし、権限は何も無いので、紛争処理の役には立ちません。

こんな施設、わざわざ愛知県内に1ヶ所作る必要があったのか?
すでに県内に14ヶ所もある監督署で事足りる話じゃないのか?
監督署は「署」だから、かなりの法的権限も持っているというのに。

人手不足の製造業が、たくさん外国人にも働いてもらって、どんどん発展する

そんな話はどこへ行ってしまったのでしょう。
地域限定で実験的に規制緩和して経済発展に寄与するはずの「特区」だったんじゃ?

手始めに3番からやりだしただけで、外国人雇用の規制緩和はこれから進むというのならいいんですが。


この組織、公式Facebookもあります。
https://www.facebook.com/aichi.elcc/
無料セミナー
・助成金受給の勘所
・知らないと損する労働法の基礎
もう、何をかいわんや。。。




★参考までに、こちらもどうぞ
●派遣の休業補償を考える
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/307/
●被災従業員の休業補償を考える
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/305/
●派遣元の三六協定を確認しましょう
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/301/
●改正派遣法:義務?配慮義務?努力義務?
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/298/
●労働者派遣法、政令?省令?指針?
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/295/


2016年05月30日

公私混同

内部留保の話の続きのはずでしたが、政治資金の公私混同が話題になっているので、今回は関連した話題について書きたいと思います。

彼の場合は、個人事務所というか、中小企業のオーナー経営者の感覚のまま政治家になってしまった残念な例なのでしょう。
「民度の反映」と言ってしまえばそれまでですが、「一緒にされては困る」という方も多いかもしれません。

舛添知事を「中小企業の社長のようだ」と評するのは、彼らに失礼だ


では、経営者ではなく社員でもやりがちな公私混同を考えてみましょう。

 会社の業務用パソコンで私用のネットを見る、
 会社のメールアドレスを私用に使う、
 貸与された業務用携帯電話を私用で使う、
 営業車を私用に使う、
これくらいなら、皆さん、多かれ少なかれ身に覚えはあるでしょう。

 カラ出張で出張手当をもらったり、
 私物を買ったのを経費に紛れ込ませたり、
 出入り業者に多めに請求書を出させてキックバックをもらったり、
そこまでいくと業務上横領という立派な犯罪です。

犯罪までいかなくても、税務上あやしい処理もあります。

役員・従業員の飲食費、いわゆる「社内飲食費」は「会社が社員に食事という経済的利益を与えた」という考え方で、原則的には「現物給与」として本人に課税されるものですが、給与課税されずに経費処理できる場合もあります。

新年会、忘年会、歓送迎会など、一般的に会社で行われている全員参加型の宴会費用は福利厚生費として経費処理することができます。

会議のときのコーヒー代や弁当代は、常識の範囲内であれば会議費として経費処理できます。

その他の場合も、業務上必要な飲食であることが明らかであれば交際費として処理でき、給与課税されることはありません。

業務上必要かどうか疑わしい場合、ぶっちゃけ単に社員同士で食べただけの飲食費は、現物給与として本人に課税されます。

租税特別措置法関係通達 61の4(1)-12

あっちは税金、こっちは俺たちの売上じゃないか!
そう、個人事業主でない限り「俺たち」の売上であって、あなた一人が稼いだお金ではないですよね。

みんなが納めた税金と、みんなが稼いだ売上、どちらも公私混同で使い込むのはよろしくないと思いませんか?

彼を擁護しているのではありません。
政治の腐敗は民度の反映という一般論です。

ではまた。

★これまでの連載はこちら
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(2)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/306/
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/300/
●消費税の仕組みをおさらいしよう
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/297/


2016年05月23日

総務人事の役に立つExcel技:年齢を計算する

今日の日付から生年月日をマイナスして365で割れば年齢が計算できそうですが、閏年があるためそう簡単にはいきません。
2つの日付の間の期間を表すDATEDIF関数を使いましょう。

 書式:=DATEDIF( 開始日 , 終了日 , 単位 )

 単位  計算結果
 "Y"  期間の年数
 "M"  期間の月数
 "D"  期間の日数

単位は両端のダブルクォーテーションも必要です。
他にも"MD","YM","YD"という単位もありますが、計算を間違うバグがあるため、使うには注意が必要です。

このDATEDIF関数は、Excel以前に表計算ソフトのスタンダードであったLotus1-2-3との互換性を保つために出来た関数で、今に至るまでこれに替わるExcel独自の関数が無く、Lotus1-2-3亡き今も、バグを引きずったままExcelの中に生きながらえている不思議な関数です。

Excelの関数でないためか、普通ならセルに関数を入力する途中で出てくる引数のヒントが無く、数式バーのfxをクリックすると出てくる「関数の挿入」にもDATEDIFはありません。
最近のExcelのヘルプはインターネットに繋がるのでDATEDIF関数の説明を見ることが出来ますが、以前のExcelではヘルプドキュメントの中にDATEDIF関数が無く、知る人ぞ知る関数でした。

では、年齢を計算してみましょう。



1985年6月21日生まれの人は2016年6月20日には何歳でしょう?
一般的には誕生日の前なので「まだ30歳」と思うかもしれませんが、日本の法律では誕生日の前日に歳をとるので法的にはもう31歳です。

また、2016年6月1日から1年契約の満了日は普通に考えると2017年5月31日ですよね。
上図の3行目、そうはなっていません。

DATEDIFはAとBの間の日数をカウントしているので、満年齢、契約期間などを計算するときはBの日付に+1しましょう。



勤続年数を計算するのにも使えます。その場合、単位"YM"を使うか、期間の月数"M"÷12を使うか、用途によって使い分けましょう。

では、総務人事担当者のお役に立てれば幸いです。

★これまでの連載はこちら
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(2)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/303/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(1)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/299/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の足算
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/296/


2016年05月16日

派遣の休業補償を考える

平成28年(2016年)熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

厚生労働省:平成28年熊本地震に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A

これを参考に
  直接被災していないが、一時的に休業した派遣先で働く派遣労働者
について考えてみましょう。

問1-4 震災の間接の影響で休業しているが、派遣会社から休業中の賃金は支払えないと言われた。

震災の間接の影響で休業している派遣先に派遣されている派遣労働者の雇用主である派遣元は、間接の2乗であって、使用者の責によらない休業とは言えず、もちろん労基法第26条に基づき休業手当を支払う義務があります。

派遣会社は、派遣先の仕事が止まったら、派遣スタッフのために速やかに新しい派遣先を探してきて仕事をあてがいなさい、さもなくば休業手当を支払いなさい、という論理です。


問2-10 派遣先から労働者派遣契約の一時的な履行停止を申し込まれた場合、派遣元は派遣先に対して派遣料金や金銭補償を求められるか。

問3-2 派遣先から労働者派遣契約は中途解除しないが、派遣会社に一時的な履行停止を申し込みたい。

労働者派遣契約の中途解除については、派遣法第26条及び29条の2により、派遣先が休業手当を負担する等の措置義務があります(問2-9、3-1)が、「中途解除ではない一時的な休業」に関する派遣先と派遣元とのやり取りは「民事上の契約関係の話」でしかありません。

派遣先も納入先が全てを補填してくれるわけではないのでつらいところでしょうが、派遣会社は労基法という強行法規で休業手当の支払いを義務付けられているということをご理解ください。

この他にも

厚生労働省:平成28年熊本地震に伴う労働基準法等に関するQ&A

法テラス:平成28年(2016年)熊本地震に関するQ&A 労働関係一覧

といったQ&Aが充実してきました。
雇用保険関係の特例も拡充されていますので、最新情報をチェックしましょう。
影響を受けなかった地方の方も、どういう特例が発動するのか知っておいて損はありません。

厚生労働省:平成28年熊本地震関連情報


★参考までに、こちらもどうぞ
●被災従業員の休業補償を考える
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/305/
●派遣元の三六協定を確認しましょう
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/301/
●改正派遣法:義務?配慮義務?努力義務?
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/298/
●労働者派遣法、政令?省令?指針?
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/295/


2016年05月09日

「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(2)

 前回は、

 内部留保は会社が持っている現金とイコールではない

ということを説明しました。
また、

 内部留保が減る=役員賞与・配当金を払った 又は 赤字になった

ということも説明しました。

つまり、「内部留保を減らして賃上げに使う」ためには、現在の会計基準・税制に基づくと、現金の有無とは関係なく、「赤字になるまで従業員の給料を増やす」しかないということです。
従業員の給料を増やしても赤字にならなければ内部留保は増えてしまいます。
(従業員の給料を増やすことを主眼としているので、単純化するため役員賞与や配当金は払わないこととします)

では、内部留保を減らすために給料を増やして無理やり1億円の赤字を出したとしましょう。
内部留保は1億円減って2億円になります。
1億円の赤字でも給料を払わなくてはいけないので、借金を増やすとBSはこうなります。


もしくは、借金を増やさずに土地を切り売りするとこうなります。


一度上げた給料は、なかなか減らすのは難しいため、業績が上がらなければ翌年も赤字になります。
これを繰り返して内部留保を全て吐き出して、それでも給料を下げなければ純資産がマイナスになり、会社は「債務超過」になります。
借金が増え、資産を切り売りして、負債が資産を上回った状態です。


そうなると、投資家や金融機関から見放され、会社は立ち行かなくなります。
その前に、赤字が続けば借入金利が上昇して資金繰りに行き詰るかもしれません。

「内部留保を取り崩して賃上げ」という注文は現行法制下では無理難題だということが、お分かりいただけたでしょうか?

このお話、次回に続きます。

★これまでの連載はこちら
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/300/
●消費税の仕組みをおさらいしよう
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/297/



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