2016年04月25日

被災従業員の休業補償を考える

平成28年(2016年)熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

会社が直接被災したことにより事業の休止を余儀なくされた場合、会社は従業員に対して休業手当等を支払う必要はありませんが、それでは従業員は生活していけません。

社長としては、少しでも払ってあげたいのはやまやまでしょうが、現金があるからと、ここで資金を放出してしまっていいのか?思い悩まれることと思います。
事業を再開し、未来へつなげていくためには、やはり資金が必要になります。
東日本大震災のときは、再起をあきらめ、手持ち資金を従業員に分配してしまって廃業した会社もあったと聞きます。

従業員の生活を守るためには、雇用保険の特例を使うという手があります。
直接被災企業の従業員は、一時的に離職することにより失業給付を受けることができます。

厚生労働省:地震により休業している事業主・労働者の皆様へ

通常、雇用保険では、離職した人が再び同じ会社で働くことが見込まれる場合は失業給付は受けられませんが、「会社が再開したら戻ってきてくれ」と約束しておいても失業給付が受けられるという特例措置です。

最寄のハローワークにご相談ください。


東日本大震災のときは、一時的な離職ではなく「休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方」も特例対象でした。

厚生労働省:東日本大震災に伴う雇用保険失業給付の特例措置について

さらに、個別延長給付の特例が適用され、失業給付を受けられる期間が最大120日延長されました。

厚生労働省:平成23年 職発0502第6号

これらの措置は、「直接被災した」や「災害救助法指定地域」がキーになります。
では、被災地域の経済活動が止まったことにより間接的に休業を余儀なくされた場合はどうしたらよいでしょう。

間接的な休業では、会社は休業手当を支払う必要があります。
熊本で起きた地震で愛知県の自動車工場が休業し、その下請企業も休業し、そこに派遣している派遣会社は派遣スタッフを休業させたら休業手当を支払う義務がある、というわけです。
使用者の責に帰すべき事由

間接被害にあった企業が「特例措置があるから」と、従業員を間違って解雇でもしようものなら、向こう半年間は多くの雇用関係助成金が受けられなくなりますのでご注意ください。

こういった場合は「雇用調整助成金」が頼りになります。

リーマンショック直後、愛知労働局あいち雇用助成室に相談に行ったら担当官は一人しかおらず、「派遣会社は対象にならんよ」と、にべも無く追い返されました。
その後「派遣切り」が大々的に報じられるようになると、一転、派遣会社もウェルカムになり、助成金の受付スペースが拡大し、担当官が10人以上になり、まるで病院か銀行の待合のように整理券発券機まで導入され、労働局のホームページには申請書の作り方動画までアップされるようになりました。

確かに、雇用調整助成金は助かりました。
当時、中小企業向けは「中小企業緊急雇用安定助成金」という名称で、休業手当相当の4/5が助成されました。(現在は2/3)
当社のある岡崎市のお隣の豊田市・安城市は残りの1/5も補填してくれていました。
(東日本大震災のときは岡崎市も補填してくれるようになりましたが)

リーマンショックのときは、派遣労働者等が仕事を失うと同時に住む所も失うことが懸念されたため、離職後も住居を用意し続ける会社に対して「離職者住居支援給付金」という助成金が支給されました。


このように、補正予算が付いたり、法令・通達・運用が改正されることにより経済的支援が充実していく可能性がありますので、最新情報をチェックしましょう。
厚生労働省:平成28年熊本地震関連情報


では、次回は内部留保の話の続きです。

★これまでの連載はこちら
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1)
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/300/
●消費税の仕組みをおさらいしよう
http://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/297/



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