2016年05月23日

総務人事の役に立つExcel技:年齢を計算する

今日の日付から生年月日をマイナスして365で割れば年齢が計算できそうですが、閏年があるためそう簡単にはいきません。
2つの日付の間の期間を表すDATEDIF関数を使いましょう。

 書式:=DATEDIF( 開始日 , 終了日 , 単位 )

 単位  計算結果
 "Y"  期間の年数
 "M"  期間の月数
 "D"  期間の日数

単位は両端のダブルクォーテーションも必要です。
他にも"MD","YM","YD"という単位もありますが、計算を間違うバグがあるため、使うには注意が必要です。

このDATEDIF関数は、Excel以前に表計算ソフトのスタンダードであったLotus1-2-3との互換性を保つために出来た関数で、今に至るまでこれに替わるExcel独自の関数が無く、Lotus1-2-3亡き今も、バグを引きずったままExcelの中に生きながらえている不思議な関数です。

Excelの関数でないためか、普通ならセルに関数を入力する途中で出てくる引数のヒントが無く、数式バーのfxをクリックすると出てくる「関数の挿入」にもDATEDIFはありません。
最近のExcelのヘルプはインターネットに繋がるのでDATEDIF関数の説明を見ることが出来ますが、以前のExcelではヘルプドキュメントの中にDATEDIF関数が無く、知る人ぞ知る関数でした。

では、年齢を計算してみましょう。



1985年6月21日生まれの人は2016年6月20日には何歳でしょう?
一般的には誕生日の前なので「まだ30歳」と思うかもしれませんが、日本の法律では誕生日の前日に歳をとるので法的にはもう31歳です。

また、2016年6月1日から1年契約の満了日は普通に考えると2017年5月31日ですよね。
上図の3行目、そうはなっていません。

DATEDIFはAとBの間の日数をカウントしているので、満年齢、契約期間などを計算するときはBの日付に+1しましょう。



勤続年数を計算するのにも使えます。その場合、単位"YM"を使うか、期間の月数"M"÷12を使うか、用途によって使い分けましょう。

では、総務人事担当者のお役に立てれば幸いです。

★これまでの連載はこちら
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(2)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/303/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(1)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/299/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の足算
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/296/


2016年05月16日

派遣の休業補償を考える

平成28年(2016年)熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

厚生労働省:平成28年熊本地震に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A

これを参考に
  直接被災していないが、一時的に休業した派遣先で働く派遣労働者
について考えてみましょう。

問1-4 震災の間接の影響で休業しているが、派遣会社から休業中の賃金は支払えないと言われた。

震災の間接の影響で休業している派遣先に派遣されている派遣労働者の雇用主である派遣元は、間接の2乗であって、使用者の責によらない休業とは言えず、もちろん労基法第26条に基づき休業手当を支払う義務があります。

派遣会社は、派遣先の仕事が止まったら、派遣スタッフのために速やかに新しい派遣先を探してきて仕事をあてがいなさい、さもなくば休業手当を支払いなさい、という論理です。


問2-10 派遣先から労働者派遣契約の一時的な履行停止を申し込まれた場合、派遣元は派遣先に対して派遣料金や金銭補償を求められるか。

問3-2 派遣先から労働者派遣契約は中途解除しないが、派遣会社に一時的な履行停止を申し込みたい。

労働者派遣契約の中途解除については、派遣法第26条及び29条の2により、派遣先が休業手当を負担する等の措置義務があります(問2-9、3-1)が、「中途解除ではない一時的な休業」に関する派遣先と派遣元とのやり取りは「民事上の契約関係の話」でしかありません。

派遣先も納入先が全てを補填してくれるわけではないのでつらいところでしょうが、派遣会社は労基法という強行法規で休業手当の支払いを義務付けられているということをご理解ください。

この他にも

厚生労働省:平成28年熊本地震に伴う労働基準法等に関するQ&A

法テラス:平成28年(2016年)熊本地震に関するQ&A 労働関係一覧

といったQ&Aが充実してきました。
雇用保険関係の特例も拡充されていますので、最新情報をチェックしましょう。
影響を受けなかった地方の方も、どういう特例が発動するのか知っておいて損はありません。

厚生労働省:平成28年熊本地震関連情報


★参考までに、こちらもどうぞ
●被災従業員の休業補償を考える
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/305/
●派遣元の三六協定を確認しましょう
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/301/
●改正派遣法:義務?配慮義務?努力義務?
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/298/
●労働者派遣法、政令?省令?指針?
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/295/


2016年05月09日

「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(2)

 前回は、

 内部留保は会社が持っている現金とイコールではない

ということを説明しました。
また、

 内部留保が減る=役員賞与・配当金を払った 又は 赤字になった

ということも説明しました。

つまり、「内部留保を減らして賃上げに使う」ためには、現在の会計基準・税制に基づくと、現金の有無とは関係なく、「赤字になるまで従業員の給料を増やす」しかないということです。
従業員の給料を増やしても赤字にならなければ内部留保は増えてしまいます。
(従業員の給料を増やすことを主眼としているので、単純化するため役員賞与や配当金は払わないこととします)

では、内部留保を減らすために給料を増やして無理やり1億円の赤字を出したとしましょう。
内部留保は1億円減って2億円になります。
1億円の赤字でも給料を払わなくてはいけないので、借金を増やすとBSはこうなります。


もしくは、借金を増やさずに土地を切り売りするとこうなります。


一度上げた給料は、なかなか減らすのは難しいため、業績が上がらなければ翌年も赤字になります。
これを繰り返して内部留保を全て吐き出して、それでも給料を下げなければ純資産がマイナスになり、会社は「債務超過」になります。
借金が増え、資産を切り売りして、負債が資産を上回った状態です。


そうなると、投資家や金融機関から見放され、会社は立ち行かなくなります。
その前に、赤字が続けば借入金利が上昇して資金繰りに行き詰るかもしれません。

「内部留保を取り崩して賃上げ」という注文は現行法制下では無理難題だということが、お分かりいただけたでしょうか?

このお話、次回に続きます。

★これまでの連載はこちら
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/300/
●消費税の仕組みをおさらいしよう
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/297/


2016年04月25日

被災従業員の休業補償を考える

平成28年(2016年)熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

会社が直接被災したことにより事業の休止を余儀なくされた場合、会社は従業員に対して休業手当等を支払う必要はありませんが、それでは従業員は生活していけません。

社長としては、少しでも払ってあげたいのはやまやまでしょうが、現金があるからと、ここで資金を放出してしまっていいのか?思い悩まれることと思います。
事業を再開し、未来へつなげていくためには、やはり資金が必要になります。
東日本大震災のときは、再起をあきらめ、手持ち資金を従業員に分配してしまって廃業した会社もあったと聞きます。

従業員の生活を守るためには、雇用保険の特例を使うという手があります。
直接被災企業の従業員は、一時的に離職することにより失業給付を受けることができます。

厚生労働省:地震により休業している事業主・労働者の皆様へ

通常、雇用保険では、離職した人が再び同じ会社で働くことが見込まれる場合は失業給付は受けられませんが、「会社が再開したら戻ってきてくれ」と約束しておいても失業給付が受けられるという特例措置です。

最寄のハローワークにご相談ください。


東日本大震災のときは、一時的な離職ではなく「休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方」も特例対象でした。

厚生労働省:東日本大震災に伴う雇用保険失業給付の特例措置について

さらに、個別延長給付の特例が適用され、失業給付を受けられる期間が最大120日延長されました。

厚生労働省:平成23年 職発0502第6号

これらの措置は、「直接被災した」や「災害救助法指定地域」がキーになります。
では、被災地域の経済活動が止まったことにより間接的に休業を余儀なくされた場合はどうしたらよいでしょう。

間接的な休業では、会社は休業手当を支払う必要があります。
熊本で起きた地震で愛知県の自動車工場が休業し、その下請企業も休業し、そこに派遣している派遣会社は派遣スタッフを休業させたら休業手当を支払う義務がある、というわけです。
使用者の責に帰すべき事由

間接被害にあった企業が「特例措置があるから」と、従業員を間違って解雇でもしようものなら、向こう半年間は多くの雇用関係助成金が受けられなくなりますのでご注意ください。

こういった場合は「雇用調整助成金」が頼りになります。

リーマンショック直後、愛知労働局あいち雇用助成室に相談に行ったら担当官は一人しかおらず、「派遣会社は対象にならんよ」と、にべも無く追い返されました。
その後「派遣切り」が大々的に報じられるようになると、一転、派遣会社もウェルカムになり、助成金の受付スペースが拡大し、担当官が10人以上になり、まるで病院か銀行の待合のように整理券発券機まで導入され、労働局のホームページには申請書の作り方動画までアップされるようになりました。

確かに、雇用調整助成金は助かりました。
当時、中小企業向けは「中小企業緊急雇用安定助成金」という名称で、休業手当相当の4/5が助成されました。(現在は2/3)
当社のある岡崎市のお隣の豊田市・安城市は残りの1/5も補填してくれていました。
(東日本大震災のときは岡崎市も補填してくれるようになりましたが)

リーマンショックのときは、派遣労働者等が仕事を失うと同時に住む所も失うことが懸念されたため、離職後も住居を用意し続ける会社に対して「離職者住居支援給付金」という助成金が支給されました。


このように、補正予算が付いたり、法令・通達・運用が改正されることにより経済的支援が充実していく可能性がありますので、最新情報をチェックしましょう。
厚生労働省:平成28年熊本地震関連情報


では、次回は内部留保の話の続きです。

★これまでの連載はこちら
●「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/300/
●消費税の仕組みをおさらいしよう
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/297/


2016年04月18日

ディザスタリカバリを考える

平成28年(2016年)熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

本業のかたわら、システム管理も任されている中小企業の総務の皆様、
この機会に、BCPで重要な部分を占める、ディザスタリカバリを考えてみてはいかがでしょうか?

コンピュータシステムのバックアップについて、中小企業でも安価に実現できる方策を考えるため、当社の事例をご紹介したいと思います。

当社では、以前から拠点間を結ぶWANがあり、各種サーバ類は愛知県岡崎市の本社に集中していました。
データのバックアップは本社でLTOというテープ装置でとり、本社内にテープを保管していました。

東日本大震災を契機に、
「本社が壊滅した場合、営業所だけでは何も出来なくなる。たとえLTOテープが残っていたとしても、復旧するためには、サーバ装置類を再調達して復元する必要があり、時間と労力が掛かりすぎる。」
ということに思い至り、2011年3月15日から、新たなバックアップ方法の検討を始めました。

当時、SIerから、「データセンターにサーバの丸ごとバックアップを取る」とか、「サーバを二重化してバックアップ機をデータセンターに置く」など、色々な提案をいただきましたが、中小企業にとっては、いつ起こるかわからない災害対策コストとしては高額すぎました。

全てのデータはファイルサーバに集中していたので、このデータだけでも安価に遠隔地に置いておけないか?と思って約1ヵ月後の4月18日に始めたのが次の方法です。

1.サーバにUSBハードディスクを接続:
2.データをUSBハードディスクにアクセス権付きでXCOPY
3.同じUSBハードディスクをもう1台作る:
4.余っていたWindowsXPノートパソコンにを接続して福岡営業所に送る
5.ノートパソコンを福岡営業所のネットワークに接続
6.データのバックアップを毎日にとる
7.毎週末、BAT処理でからに差分をコピーする

ノートパソコンはUPSが付いているのも同然なので、バックアップ機としてはデスクトップパソコンより優秀です。ただ古くて余っていたものなのでHDD容量が少なく、USBハードディスクを外付けしました。
Bのデータにもファイルサーバと同様にWindowsDomainの所有権・アクセス権をコピーしておけば、一般社員には見せられないファイルを覗き見されることもありません。
差分を1回送るのに、だいたい4時間半かかったので、毎晩やると通信会社に怒られるのでは?と思い、毎週日曜日の夜に1回だけにしてみました。

その後、馴染みのSIerのSEさんに「XCOPYよりROBOCOPYの方が使えるよ」と教えてもらって、ただの「差分コピー」から「フォルダの同期」に進化しました。

ここで残った問題は、当時まだオンプレミスで運用していたSFA基幹系のデータです。
とりあえず福岡にバックアップデータを送ったまでは良いのですが、福岡にサーバを置かなければ使えません。

そこで、次の段階は、色んなシステムのクラウド化です。

SFAは自社サーバのリースアップにともない、クラウドシステムに乗り換えました。
オンプレミスの保有・保守コストを考えると、全然元が取れます。
バックアップの心配もいりません。
社外からiPadでも使えるようになり、業務効率も向上しました。

派遣会社の基幹システムである給与計算は、本社で部門ごとにスタンドアロン機で計算していましたが、拠点でも計算できるようにクラウドシステムにバージョンアップしました。
おまけでマイナンバーのデータもクラウド上にセキュアに保管できるようになり、マイナンバー管理での追加投資を最小限に抑えることもできました。

クラウド技術の進展により、ほんの数年前には考えられなかったコストで、データをセキュアに社外の安全な場所に預けることができるようになりました。

拠点間接続のWANも、一昔前までは距離に応じて値段が決まる高額な専用線を引かなければならず、とても中小企業の手の届く存在ではありませんでしたが、インターネット技術の進展により、電話線を1本増やすくらいの感覚で実現できるようになりました。

福岡営業所のバックアップ用ノートパソコンは、WindowsXPからWindows7に変えましたが、これも余ったノートパソコンです。
ただ、Windows7にしてから、何も通信していないといつの間にかDomainとの接続が切れてしまい、気が付くと福岡にバックアップがとれてないという状況に陥りました。
そこは、やはりBAT処理。毎日一定時間に福岡から本社へ、本社から福岡へ、双方向に「起きてるよ」というテキストを書き込むBATを動かしたら、勝手に切れないようになりました。
根本的な解決にはなっていませんが、そこは中小企業のシステム管理者、お金を掛けずに、ちょっとした知恵でしのぐわけです。
DOSコマンド、BATファイル、タスクが使えるとシステム管理の幅が広がります。

当社の事例ですが、お困りの皆様のちょっとしたヒントになれば幸いです。

では、次回はExcel技に戻ります。

★これまでの連載はこちら
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(2)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/303/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の引算(1)
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/299/
●総務人事の役に立つExcel技:文字列の足算
https://www.trust-family.co.jp/wgs/blog/v/296/



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