「内部留保を賃上げ原資に」と言うけれど・・・(1) - 人材派遣と人材紹介の株式会社トラスト 愛知県/三重県/静岡県/福岡県
2016年03月28日
会社の通信簿である「決算書」の中の計算書類には主に次のようなものがあります。
・貸借対照表(Balance Sheet 通称BS)
・損益計算書(Profit and Loss statement 通称P/L)
・キャッシュフロー計算書(Cash Flow statement 通称CF)
BSは会社の現在の体力を現し、その名の通り左右の合計額が一致します。
その「左右」とは何かを見るために、総資産10億円・資本金1億円で、次のようなBSの会社を考えてみましょう。
会社の安全度合いを見る一つの指標「自己資本比率=純資産÷総資産」が40%の優良企業です。
さて、この会社の「内部留保」はいくらあるでしょう?
「内部留保」の定義は様々ありますが、概ね図の右下の利益剰余金3億円のことを指します。
この図の通り、会社は資産を全て現金で持っているわけではなく、売掛金(物を売ったけどまだ現金を受け取っていないもの)、在庫、ビル、工場、機械、車、土地など様々な形で保有しています。
BSは、会社設立から、借金して、設備投資して、借金返済して、黒字、赤字を繰り返した結果の現在までの蓄積です。
生まれてから、食事して、寝て、筋トレして、ランニングして、筋力や持久力を鍛えてきた「現在の体力」というわけです。
会社の活動の内、内部留保を増減させるものは、非常に単純化して言うと、
内部留保が増える=黒字で利益が残った
内部留保が減る=役員賞与・配当金を払った 又は 赤字になった
だけしかありません。
「給料を上げるために内部留保を吐き出せ」という議論は、
内部留保=会社が溜め込んでいるお金
という誤解に、利益=現金という誤解を重ねて出てきたものですが、図の通り純資産は資産と負債の差額でしかなく、内部留保は純資産から資本金を引いたもので、会社が持っている現金とは対応していません。
では、左派はもとより、政権筋からも言及される「内部留保を減らして賃上げに使う」ためにはどうしたらよいでしょうか?
続きは次回。
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